物価上昇と賃金

MARCH 2023大阪全労協機関紙

3/8/2023

イギリス、アメリカそして世界各地で労働者は大幅な賃上げを求めてストライキで闘っている。なぜ世界の労働者はストライキに立ち上がったのだろうか。

物価高騰とストライキ
今、世界各地で物価が上昇している。ヨーロッパやアメリカでは物価上昇率が年率で10%を超えようとしている。あらゆるモノの値段が上がるので、労働者は経営側へ賃上げを要求する。経営側の提案する賃上げ率が物価上昇率を下回る場合、労働者はストライキを決行し賃上げ率の上積みを求める。これがストライキの理由である。物価上昇率と賃上げ率の関係について、「モノの値段とは何か」を踏まえて説明しよう。

どうして給料が上がらないと生活が
苦しくなるのか モノには通貨で値段が示されている。例えば、米60kg(1俵)に「20,000円」の値札がついていると、この20,000円が米1俵の値段である。物価が1年間で10%上昇するということは1年後に同じ米1俵が22,000円になる。1年後には2,000円多く払わないと米1俵が買えない。つまり、米の値段は2,000円上昇したことになる。

私たちの賃金も通貨で示される。時給1,000円、月給200,000円などである。月給200,000円を得る労働者は、米1俵が20,000円の時に、その月給で米10俵を買うことができる。「月給200,000円は米10俵の価値がある」といえる。米1俵が22,000円になると、月給200,000円では約9.09俵しか買うことができない(200,000円÷22,000円)。米10俵を買うためには月給を20,000円賃上げして220,000円にしなければならない。米の値段(物価)が10%上昇したので、賃金も10%上げないと価値を保てない。

実質賃金の目減り
物価上昇率を下回る賃上げ率では、先ほどの例(米10俵→9.09俵)のとおり実質的に賃金は目減りする。だから、世界の労働者は物価上場率を上回る大幅賃上げを求めて、ストライキで闘っているのである。

長らく物価上昇が無かった日本でも、最近では物価が上がっている。この物価上昇はまだまだ続くと言われている。物価上昇の中、私たちの暮らしを守るために、「物価上昇率を上回る賃上げを」を23春闘で求めよう。

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