第2回「電力会社の地域独占 」

OCTOBER 2021大阪全労協機関紙

10/8/2021

前回、「1951年に日本発送電は9電力会社に分割された」と書いた。日本発送電から分割された各地の電力会社は、それぞれの地域で発電、送電そして配電を独占した。このことは「電力会社の地域独占」といわれ、2016年4月に電力が完全に自由化されるまで続いた。

地域独占のもと、送電網は電力各社

ごとに独自に整備運用され、各社の送電網を繋ぐ連系線の容量は小さく、各社の送電網の連系は貧弱である。(送電網と連系線の図、参照)これが日本の送電網の特徴である。

話は変わるが、電力供給について一番大事なことを説明したい。それは「電力の需要と供給のバランスをとること」である。発電する電力量と消費する電力量のバランスをとらないと周波数が乱れ、最悪の場合は発電所が停止し大規模停電(ブラックアウト)が発生する。(例、2018年12月に北海道で発生した「全道ブラックアウト」)

電力会社は電気の安定供給のため、電力の需要と供給のバランスを保つことを非常に大事にしている。

電力会社は自社の地域内で電力の需給バランスを保つことを考え、「地域内で電力需要が増えれば、自社の発電所の出力を増やす」、「地域内で電力需要が減少すれば、自社の発電所の出力を下げる」という方式で対応する。つまり、電力会社は各自で需給バランスを保つのであり、「他社から電気の供給を受ける」または「他社へ電気を供給する」ということは通常行わない。他社と電気を融通するのは非常時に一時的に行うのみで、そのことから連系線の容量が小さかったのである。

電力会社は出力を変動させにくい原子力発電を「ベースロード電源」と称して常に一定の出力で稼働させ、出力を変動させやすい火力発電の発電量を増減させることにより、電力の需給バランスを調整する。彼らに言わせるとこれが「電源のベストミックス」である。

他社との電気の融通は考えないので、連系線は最小限の容量とする。自社地域内のみで電源を「ベストミックス」させ電力の需給バランスを保つ。これが、日本の電力会社の伝統的な電力供給方法である。

(ゼネラルユニオン 友延 秀雄)

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