団体交渉感想文         N.T.

 わたくしは、約四半世紀Y会社に勤務していました。わたくしは、生来、寡黙でとても大人しく、会社にも大変従順で、会社のためにいっぱい仕事をしました。しかし、会社はわたくしにご褒美を全然くれませんでした。会社の社員すべてに支給しているボーナスをわたくしにだけは1回もくれませんでした。社員の昇給は1年に一度見直すハズなのに20年間もわたくしの時給は10円も上がりませんでした。退職金も、初期雇用契約をY会社と締結したときには、支給しますと約束してくれたのに、いつの間にか会社都合により勝手になくなってしまいました。
会社に問い合わせても、その時々に臨機応変な摩訶不思議でお茶目なお返事をいただきましたが、結果としてわたくしの雇用契約書における労働条件は20年間全く変わりませんでした。
  わたくしは、2年前に大きな病気を罹患していることが発覚し、病気治療のため、会社を9か月間休職しました。休職で、会社と揉めました。わたくしは休職したくなかったのです。わたくしの手元には、病気治療に費やす事ができるお金がわずかしかありませんでした。わたくしは働きます!と主張しましたが、会社に聞き入れてもらえませんでした。やむなく休職しましたが、貯金が底をついた時点で、お医者さまに頭を下げて、復職したいので会社の望む診断書を作成してくださいとお願いし、Y会社の望む通りの診断書をゲットし、会社に提出しましたが、会社はわたくしにあからさまに戻って来るな、言いました。そして、復職を会社と交渉すればするほど、復職の条件がどんどん厳しくなっていきました。
わたくしの休職、復職における会社との手続き不良から、果ては今までのわたくしに対する会社の処遇、労働条件等の劣悪さにまで飛び火し、Y会社とわたくしの大喧嘩が始まりました。
会社は、一応は、わたくしの復職を認めましたが、わたくしに仕事を与えませんでした。そして、わたくしに無言を決め込み何も言ってこなくなりました。それで大変困ったわたくしは、わたくしがとても信頼しているわたくしの友人の弁護士さまに労働組合さまをご紹介いただき、わたくしと会社との間に入って団体交渉を行ってくださるようにお願いしました。
当初の団体交渉の申し込みでは、労働組合さまにわたくしの労働条件の劣悪さを主な交渉ネタにしていただきました。会社側は、団体交渉に応じてくれました。しかし、その団体交渉には、会社の代理人な弁護士さまが二人と、役職は重役だけれど、数か月前に入社したばかりの新人社員が顔を並べることになりました。そして団体交渉は、わたくしが、わたくしの処遇の不当さを、わたくしの事を何もご存じない会社の社員と会社代理人な弁護士さまと労働組合さまに主張するだけに終始しました。当然に、会社からの的を射た誠実な回答はありませんでした。
1回目の団体交渉が終わって、しばらくして、会社から雇止め通知書が労働組合さまを経て送付されてきました。
2回目団体交渉以降は、わたくしの雇止めについての交渉を続けることになりました。わたくしは、今まで真面目に働いてきたので、会社がわたくしを雇止めにする根拠は何もありませんでした。わたくしは、会社の言い分を団体交渉および会社とのメールのやり取りで論破しました。
しかし、それでも会社はわたくしの雇止めを撤回することはない、労働組合さまに伝えました。
会社のわたくしへの対応にプッツンしたわたくしは、裁判で会社と争うことができるか労働組合さまや弁護士さまに相談しました。
それでわたくし自身が冷静になれたので、さらによく考えてみたところ、会社はわたくしの労働条件の劣悪さも、わたくしが今までずっと正直に働いてきたことも全て認めていることに気づきました。しかし、今更わたくしの賃金や労働条件を会社の基準条件に是正するには、あまりにも両者の開きが大きすぎるので、会社は、自分の非を認め、わたくしの労働条件を是正するより、わたくしにわずかばかりの一時金を支払って、わたくしを解雇し、すべてを無かったことにしようとしているだけだと、気づきました。
たとえ、わたくしや労働組合さまにその場限りのウソをついてでも、会社には、会社自身の非を認め、わたくしの雇用契約書の不公平を是正し、社員としてのわたくしの処遇を他の社員と同等に引き上げるより、会社の体面を維持することの方がはるかに大事なことなのだと気づきました。
…このような会社に、わたくしの居場所はありません。
 わたくしは、わたくしなりに四半世紀もの間、一生懸命働いてきたのに、会社は社員としてのわたくしを全然大事にしてくれませんでした。労働組合さまにお願いして団体交渉までしてもらったのに、わたくしの主張に対して誠実な答えもくれませんでした。謝罪もありませんでした。今までご苦労さまでした、言ってもくれませんでした。
…わたくし自身が、会社に愛想をつかしてしまいました。わたくしは、もう、このような会社では働けません。わたくしは、この後、会社との関係の修復を望まず、会社との関係すべてを清算し、会社がわたしに支払うべきお金をすべて回収する方法を考えようと思いました。団体交渉の間、わたくしをとても大切にしてくださった労働組合さまは、このようなわたくしのために最後の会社との団体交渉で解決金を確保してくださいました。…正直に言えば、わたくしは団体交渉の場で、会社に過去のわたくしに対するすべての清算をしてほしかったので、当然に納得のいく金額ではありませんでした。
しかし、それでもこれは、わたくしにとって、労働組合さまがわたくしのために会社と一生懸命に交渉してくださった結果、会社に支払ってもらえるようになった、とても大切なお金です。…わたくしは、会社と団体交渉を持ち続けた半年以上の長い時間、病気のわたくしを支え、励まし、わたくしと共に会社と闘ってくださった労働組合さまに大変お世話になりました。とても感謝しています。ありがとうございました。