大阪市教育委員会議での教科書採択
               怒! 怒! 怒! と怒りが止まらない

 怒! 怒! 怒! と怒りが止まらない。8月5日の大阪市教育委員会議での教科書採択のことだ。この日、大阪市教委およびその
背後でうごめく橋下大阪市長は、市民の目と耳を完全に封殺し傍聴を禁止して密室で、天皇賛美・戦争賛美・排外主義に溢れた育鵬社
教科書を歴史・公民両方で採択するという暴挙をおこなった。

 
 この日の前日、それまで明らかにされていなかった会場を突然発表し、しかも会議場と地下鉄で5駅はなれたところに傍聴会場を
設けると発表した。この段階ですでに、大阪市教委の<強行突破>路線は想像がついた。
 
 当日、会議場とされた大阪市立中央図書館前には、この間教科書問題で中心になって牽引してきた市民団体である「あぶない教科書
を子どもたちに渡すな!大阪の会」のメンバーや、突然登場するかもしれない右翼対応に備えて急遽声をかけた大阪全労協の組合員な
どが早朝7時半ごろから集まり始めた。そのうちマスコミの
TVカメラも数社やってきて、図書館前での集会およびビラまきを始めた8
時半ごろには80人以上の参加者が結集してきた。

  
 9時過ぎには建物裏側の車寄せにタクシーが着いて、数名の職員が出迎える中3人ほどの教育委員らしき人間がそろって車から降り
立つのも目撃された。どこまでいっても、彼らは市民の目から隠れてこっそりとしか行動できないようだ。

 
 その間並行してずっと前では集会が続けられ、この問題に憤りを感じてこれまで各自治体への申し入れ行動を展開してきたさまざ
まな市民団体がそれぞれに報告をしながら、異口同音に育鵬社教科書の酷さを訴えていた。とくに、すでに育鵬社教科書の採択が強
行された東大阪市の市民からは、その採択の過程や当日の会議の不当なやり方が告発された。また、その東大阪市で採択前の1週間
以上にわたって、布施駅前でザイトク系右翼が行く鵬社教科書を持ち上げ反対する市民運動を「在日」「過激派」と暴言で踏みにじ
るヘイトスピーチ情宣を展開してきたことも報告された。この事実からもこの教科書が持つヘイトスピーチとの親和性は明らかだろう。
 
9時45分の会議時刻になると、離れた傍聴会場に行って監視している仲間からの会議状況の報告が入り始めた。地理の教科書の
採択から始まるのだが、地理だけで延々とやっているらしい。それが終わったと思ったら次は地図帳の採択となり、歴史教科書の
話に入ったのは、もう開始後1時間近くたってからだ。
 
 少し、他社教科書もいい、などの教育委員からの発言があったかと思えば、やがて、育鵬社発行元の日本教育再生機構とつながり
が深く独禁法違反も指摘されている高尾教育委員と、今回の<密室審議>を決定した大森教育委員長の「演説合戦」となってきたよ
うだ。それぞれに、子どもたちの実態と関係のない持論を何十分にもわたって語り始め、最終的に育鵬社の教科書が採択された。また、
公民教科書も同様の展開で最後は挙手によって育鵬社の教科書と決定された。いずれも6名の教育委員のうち育鵬社4:他社2の賛否
だったそうである。本来教育行政のトップであるはずの山本教育長は、議論では一言も発せず挙手で黙って育鵬社に手を挙げたそうで
ある。情けない!

 
 結局、昼過ぎまで延々と続けられた教育委員会議で残された結果は、歴史・公民ともに育鵬社版という無残なものである。

 
 しかし、成果が何もなかったわけではない。そもそも、会場をギリギリまで発表できなかったこと、<密室審議>にせざるをえな
かったことなど、運動の側が大阪市教委を追いつめてきたことの表われであり、市民の眼がある開かれた場ではとてもできない暴挙
であることを自らが自覚していたからこそである。 

 
また、最後に付帯決議として、歴史で帝国書院版、公民で日本文教出版社版の教科書が補助教材として使用されることが決まった。
つまり生徒に対して全額公費で2冊の教科書が配布されることになる。それ自体、税金の無駄遣いであるけれど、育鵬社版教科書
だけでは歴史・公民教育が成立しない事実を認めたことにもなる。これらは、権力側の弱点である。

 
 それにこの日、炎熱の下、5時間近くにわたってずっと途切れることなく抗議の声をあげ続けていた100名近くの市民の力には
大きく励まされた。そのため、結局右翼はだれ一人登場することができなかった。
 
 それにしてもうっとうしかったのは、管轄の西警察署および大阪府警公安のうろうろとすること。つねに、常時十数名の公安が
市民の集会を取り巻いて監視していた。権力を握る者は権力で抑圧することによってしか身を守れないということだろう。
 

 
 情報によるとこの日、同じ育鵬社版教科書を横浜市(歴史・公民)でも採択したという。たしかに、安倍政権による強権政治が
暴走している現在、こういうこともあろう。けれども私たちは、安倍政権の戦争法案反対の運動ともリンクさせながら、この教科
書問題についても必ず撤回させてやる、という意気込みで今後も運動をくりひろげていきたい。